『サピエンス全史』がくれた問い③

サピエンスに起こった認知革命。

突然変異か何かで脳の配線がガラリと変わり、ヒトは虚構、つまり物語を仲間と共有することができるようになりました。

これで浦島太郎も、スターウォーズも、実際にはいない竜宮城やヨーダまで想像して、仲間と語り合うことができるようになりました。(めでたし、めでたし)

もちろんそうした娯楽的な要素や、情操教育に役立つ経験もあったでしょうが、人類がその後発展する上で特に影響が大きかったことは、「無数の赤と他人と協力できるようになったこと」が本の中で挙げられています。

例えばサルの場合、一頭のリーダーが作る群れはせいぜい数十頭。多くても200頭には届かない。それ以上が結束することはあまりありません。水や食べ物を求めて、大移動をすることくらいでしょうか。

ところが、虚構(物語)をみんなが共有すると、大人数が結集してとてつもなく大きな力を発揮することができるようになるわけです。共通の神さま、迷信、掟。

これにより、サピエンスは、他の生物と一線を画す、途方もない力を手にしたことになります。空想には際限がなく、ときにはたったひとりの妄想が、数億人を巻き込むファンタジーに膨れ上がった例を私たちはたくさん目の当たりにしてきました。

世の中には実体がはっきりしないけれども、多くの人があると信じているものがたくさんありますよね。

お金、宗教、国家、会社、お金…。

そうしたものはどんどん増えて、もはや理解不能なまま独り歩きしてるような虚構もたくさんあります。

ある時、立ち止まって、それは本当なのか、虚構なのか、もし虚構なら、その何を信じるのかを考えたり、話したりすることで、自分の今の状態をより客観視できるのではないかと思います。

ちなみに、コーチングのテーマには、目に見えないないものがよくでてきます(というか、ほとんどがそれ)。内容は時として、漠然とした不安、人間関係、自分の存在意義など、抽象的なものです。けれども、そうした話をすることで、思考や、そのパターンの輪郭がよりはっきりし、本当はどこに向かいたがっているのかを知ることが容易になります。

さらに、知覚革命のおかげでサピエンスは、一代で終わらないしくみも手に入れました。たとえそれが不完全な概念だったとしても、何世代にもわたって引き継がれる物語があり、ずっと受け継がれて文化とか、社会をつくってきました。

さて、本に戻りますと、著者は「私たちの性質や歴史、心理を理解するには狩猟採集民だった祖先の頭の中に入り込む必要がある」と書いています。それは私たちの祖先が長い間そうやって生きてきたからだといいます。

ただ、狩猟採集時代ってとても長いけれども、資料がないというジレンマがあるんですよね…。(つづく)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください