『サピエンス全史』がくれた問い②
さて、ホモ・サピエンスには「賢いヒト」という意味があるのですが、いったい何が賢かったんでしょうか?
火を使って食べ物を煮炊きできた?
思考能力が他の仲間よりも高かった?
地球上のいたるところに分散して暮らした?
『サピエンス全史』を読んでいくと、どうやら「認知革命」が起こったことが、賢さに大きく由来しているようです。
知覚革命とは?
これは遺伝子の突然変異か何かで、あるときサピエンスの脳の配線がガラリと変わり、言葉でのコミュニケーションで仲間と意思疎通ができるようになったというものです。
仲間同志でコミュニケーションを行う生き物は、他にもたくさんいます。
蜜をありかをダンスで仲間に知らせるミツバチだったり、敵が近づいてきたことを叫び声で知らせるサルだったり。
でも、サピエンスが獲得した言葉によるコミュニケーションは、そういうものよりもはるかに高度なものでした。
それは実際にはありもしない虚構を伝えられることでした。
平たくいうと、物語をつくって、それを仲間と共有する能力を得たことでした。
物語を語り、ともに共感する生き物は他にいません。サピエンスはそれをあちこちで長い間繰り返し行うことで、大きな発展を成し遂げてきたというのです。
当時はもちろんコーチングなんてものはありませんが、人類がより高度で、抽象的な対話をする素地はをこのときに獲得したということになります。
目に見えないもの、物語や虚構を語り、共有し、発展の道筋をみつけていく。
当時、私たちの祖先がどんなコミュニケーションをしていたのか、気になりますね。おそらく夢に出てきたことや、星座の形なんかを火を囲んで語っていたのでしょう。
ファンタジーや、神話や、夢を共有することが、その後の人類の進化に劇的な影響を与えました。
では「認知革命」で、ヒトは次の進化に向かうために、具体的に何を獲得できたのでしょうか。(つづく)